Courtesy RM Sotheby’s
1981年型フェラーリ400i(シャシーナンバー33847)が、2025年8月15〜16日に開催されたRMサザビーズ・モントレーにおいて18万4,800ドルで落札された。本車両はカタログ時点でわずか1,525km(948マイル)の走行距離を誇り、ヨーロッパ仕様かつ希少な5速マニュアルギアボックスを備える極上の一台である。

フェラーリ400iの概要
フェラーリ400iは1979年のトリノ・モーターショーで初公開され、ボッシュKジェトロニック燃料噴射装置を採用することで走行性と環境性能を高めつつ、フェラーリらしい高性能を維持した。フロントに搭載された4.8リッターV12エンジン(約310馬力)は、5速マニュアルまたはGM製3速オートマチックを介して駆動される。ピニンファリーナによる洗練されたデザインに加え、レザーシートやエアコン、パワーウィンドウを標準装備し、快適性と実用性を兼ね備えたグランドツアラーであった。
本車両の来歴
本車両は1981年5月22日にスペイン・マドリードのディーラーTayreから地中海沿岸アルテア在住の最初のオーナーに納車された。その後1989年にオーナーが交代し、長期所有のもと大切に維持されてきた。2025年に現オーナーが取得した後、米国カリフォルニア州コスタメサのFrancorchamps of Americaにて約1万ドル規模の整備が行われ、燃料ヘッド、サーモスタット、ファンスイッチの交換やエンジンおよびラジエーターのフラッシングが実施された。さらに塗装計測により、工場出荷時のオリジナル塗装が保持されていることも確認されている。
コレクション価値
長らく過小評価されてきたフェラーリ400iだが、V12エンジンの存在感、快適性、そしてクラシカルなエレガンスが再評価されつつある。走行わずか1,525kmという奇跡的な保存状態を誇るこの一台は、RMサザビーズ・モントレーでの落札結果が示すように、今後もコレクター市場で高い注目を集めるだろう。