1994 Bugatti EB110 GT up for auction

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Courtesy RM Sotheby’s

1990年代のブガッティを代表するスーパーカーの1台であるEB110 GTは、3.5リッターの60バルブV型12気筒クワッドターボと、それに組み合わされた6速MTを搭載し、このエンジンの最高出力は553 PS。今日のスーパーカー技術の先駆けである全輪駆動システムによって制御され、EB110の走破性を支えた。そして、静止状態から時速60マイルまでわずか4.4秒で到達させ、最高速度は時速212マイル(約341 km/h)に達する性能を備えていた。ロード&トラック誌の取材に応じた熟練レーシングドライバー、フィル・ヒルは「時速200マイル以上でも、普通の道路を走っているような感覚でクルージングができる。まさに傑出したクルマだ。」とコメントしている。世界トップクラスのパフォーマンスを、美しく洗練されたスポーティなボディに凝縮したEB110 GTは、ブガッティ・コレクターやスーパーカー愛好家に愛される名車である。

そのブガッティ EB110 GTが2022年12月10日にマイアミで開催されるRMサザビーズのオークションに出品され、最終価格は160万ドルから190万ドルと予想される。EB110 GTは約85台が生産され、この車両は75台目の個体となる。そしてこの車両はわずか3人のオーナによって所有され、専門業者による14年間の定期点検が実施されていたほか、オーナーズマニュアル、カタログ、ファクトリーツールキット、希少なラゲッジセットが付属している。車体の詳細はRMサザビーズのウェブサイトにて確認できる。

このマイアミで行われるオークションでは厳選された60台の販売が行われ、近代的な都市にふさわしくモダン・クラシックの車が多数出品されるほか、最高級のスポーツカーや後期型のスーパーカーも同様に出品される予定。

ブガッティEB110 GTの歴史

長い間眠っていた自動車メーカーを復活させるのは並大抵のことではないが、ブガッティのような神聖なメーカーであれば、なおさらそのハードルは高い。1980年代後半、イタリアの企業家ロマノ・アルティオーリはこの難題に挑み、夢は比較的短命に終わったが、彼が実現させたブガッティEB110は、エットーレ・ブガッティと現在のブガッティS.a.S.の中間的存在として、まさに伝説の名車を受け継ぐにふさわしい一台と評価されるに至った。

数年にわたる絶え間ない開発の末に、アルティオーリは生産の成功を見越し、生まれ変わったブガッティにスタイリッシュでモダンな工場を建設するまでに至った。エットーレ・ブガッティ本人も、その規模と建築的な威厳を高く評価していたのではないだろうか。アルティオリが手がけたブガッティは、モーターバレーと呼ばれるイタリアのモデナというハイパフォーマンスのホットスポットにあった。この地域は、何十年にもわたって世界で最も魅力的なスーパーカーを生産しており、その知識の集積度は間違いなく地球上のどこよりも高い。

しかし、そこで生産されるクルマは、それ以上に素晴らしいものだった。エットーレ・ブガッティの生誕110年目にちなんで名付けられたEB110は、計画された一連のモデルの最初のモデルであった。シャシーは、パオロ・スタンザーニがアルミで考案し、フェラーリF40のチーフエンジニア、ニコラ・マテラッツィがカーボンファイバーで作り直したものである。

その後、カーボンファイバーは現代のスーパーカーの主流となったが、この画期的なフレームの製造を請け負ったのが、フランスの航空宇宙企業エロスパチアーレ社であったことは特筆に値する。当初予定されていたアルミハニカムは、超高性能ミッドエンジンマシンには柔軟すぎることが判明し、先進の複合素材が選ばれた。このシャシーに、伝説のスタイリスト、マルチェロ・ガンディーニによるコンセプトデザインに、アルティオーリの関係者である建築家ジャンパオロ・ベネディーニがリファインした、印象的なボディワークが組み合わされ、市販された。