“550 GTC”という名の証明:フェラーリが生んだGTレース復活の原点

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Courtesy RM Sotheby’s

モダン・フェラーリのGTマシンの中でも、「550 GTC」は特異な存在である。その中でもシャシーナンバー「2102」は特別だ。フェラーリが公式にN.Technologyに委託して製作させたわずか2台のうちの1台であり、真のワークス由来のGTカーと呼べる存在だ。

1990年代末、F1に集中していたフェラーリは、GTおよび耐久レースから長らく遠ざかっていた。しかし、550マラネロをベースとしたプライベーターの活躍が注目される中、ついにフェラーリは方針を転換。2002年末、N.TechnologyにFIA-GT仕様の550 GTCを2台製作させた。それが、プロドライブやイタルテクニカ製とは一線を画す“本物”の始まりだった。

JMBレーシングにより2003年FIA-GT選手権で実戦投入された2102は、スパ24時間レースで6時間経過時に総合2位につける快挙を達成。その後もイタリアヒルクライム選手権に転向し、2005・2006・2014年にGTMクラスで王者に輝くなど、活躍の場を広げた。

2021年にはフェラーリ・クラシケの認証を受け、オリジナルのシャシー・ボディ・エンジン・ギアボックスを保持していることが正式に証明されている。現在はスパ24時間仕様にレストアされ、ヒストリックGTイベントへの参加資格も備える。

現存する550 GTCの中でも、2102は唯一無二の存在だ。単なる希少車ではなく、フェラーリがGTレースに復帰するきっかけとなったマシンであり、現代GTレースの礎を築いた“証拠”そのものである。

この車両はRM Sotheby’s Private Salesにて販売される。