ドライビングに適した専用シューズには「ドライビングシューズ」と「レーシングシューズ」が存在する。一見似ているように見えるが、実際には用途や性能に大きな違いがある。サーキット走行を行うドライバーはもちろん、普段の運転を快適にしたいユーザーにとっても、この2種類の違いを理解しておくことは重要である。本記事では、「ドライビングシューズとレーシングシューズの違い」をテーマに、それぞれの特徴や選ぶ際のポイントをわかりやすく解説する。
ドライビングシューズとは？
ドライビングシューズとは、日常の運転やワインディングロードなどで快適にペダル操作を行うために設計されたシューズである。主な特徴は以下の通りである。
- 薄く柔軟なソール：ペダルタッチがしやすく、足裏の感覚をつかみやすい。
- かかと巻き上げ構造：運転中のかかとの動きをサポートし、摩耗を軽減する。
- 軽量性：長時間の運転でも疲れにくい。
- ファッション性の高さ：ローファー型やスニーカー型など種類が豊富で、普段履きにも適している。
特にレザー製モデルは都会的で洗練されたデザインが多く、ドライブ前後のスタイルにも馴染む点が魅力である。
レーシングシューズとは？
レーシングシューズとは、サーキット走行やモータースポーツ競技における高い安全性と操作性を追求した専用シューズである。特徴は以下の通りである。
- 耐火・耐熱素材：FIA規格（8856-2018など）に準拠した耐火性能を持ち、レース中のリスクを低減する。
- 非常に薄いソール：よりダイレクトなペダルフィールを実現し、高速域での繊細なコントロールが可能である。
- 高いフィット感：足全体をしっかりホールドする構造で、激しい車両挙動でも安定。
- 軽量設計：操作の負担を最小限にし、集中力の持続を助ける。
街中での使用もできるモデルはあるが、安全規格に合わせた素材や作りのため、普段履きにはあまり適していない。
ドライビングシューズとレーシングシューズの明確な違い
1. 用途の違い
- ドライビングシューズ：街乗り、ワインディング、一般的なドライブ向け。
- レーシングシューズ：サーキット走行、モータースポーツ競技専用。
目的が異なるため、求められる機能性も変わる。
2. 安全基準の違い
- ドライビングシューズ：特に耐火規格などは必要なし。
- レーシングシューズ：FIA公認の耐火・耐熱基準が必須。
レースに出るならレーシングシューズ一択である。
3. ソール構造の違い
- ドライビングシューズ：薄めだが、歩行も考慮したつくり。
- レーシングシューズ：極限まで薄く、ペダル操作に特化。
高速走行時の精密操作を最優先にしている。
4. デザイン性の違い
- ドライビングシューズ：レザー、スエード、スニーカーなど種類が豊富で普段履きにも向く。
- レーシングシューズ：競技向けのデザインが中心で、日常ファッションよりも性能重視。
どちらを選ぶべきか？シーン別のおすすめ
日常の運転を快適にしたい場合
→ ドライビングシューズがおすすめ
デザイン性も高く、街履きでも違和感がない。ペダルフィールも良好で、安全かつ快適な運転が可能である。
サーキット走行・レースに参加する場合
→ レーシングシューズは必須
FIA規格に対応した本格モデルを選ぶことで、安全性と操作性を確保できる。
たまにサーキットに行くライトユーザー
→ ドライビングシューズで十分なシーンも多い
ただし、スポーツ走行会などではレーシングシューズが推奨される場合もある。
おすすめのドライビングシューズ
プーマ スピードキャット (Puma Speedcat)
F1レーシングドライバーのピット用シューズにインスパイアされて誕生したモデル。1999年の登場以来、シンプルかつロープロファイルなシルエットが特徴で、長年にわたりストリートファッションにおいても定番として君臨してきた。
プーマ ドリフトキャット (Puma Drift Cat)
滑らかな合成レザーと流線型のフォルム、そしてドライビングに最適化されたアウトソールを備えており、機能性を重視したモデル。
また、BMW、メルセデス・ベンツ、フェラーリ等のモータースポーツブランドとのコラボレーションモデルも展開している。
パトリック パミール (Patrick Pamir)
細身で上質なデザインのスニーカーが特徴。ドライビングにも普段使いにも適した万能モデル。
トッズ ゴンミーニ (Tod’s Gommino)
ローファータイプのドライビングシューズの代名詞。突起ソールが象徴的で、上質なレザーと快適な履き心地を誇る。運転だけでなくビジネスからカジュアルまで幅広く活用できる。
おすすめのレーシングシューズ
SPARCO（スパルコ）
スパルコはモータースポーツギアの代表的ブランドであり、世界中のレーサーから信頼を得ている。軽量性と耐熱性のバランスが良く、FIA公認モデルも多数ラインナップされている。特に「EVO」シリーズはフィット感とペダルフィールに優れる。
OMP（オーエムピー）
OMPはイタリア発のレーシングギアメーカーで、プロフェッショナル向けの高性能シューズを提供している。薄型ソールと高い柔軟性を持ち、ダイレクトな操作感が特徴である。ハイグリップソール搭載モデルはサーキット走行との相性が抜群である。
alpinestars（アルパインスターズ）
MotoGPやF1など世界最高峰の競技をサポートするブランドで、安全性とデザイン性の高さに定評がある。アラミド繊維を使用した耐火モデルや、足首の動きを妨げない軽量設計のモデルなど、本格走行向けのラインナップが充実している。
まとめ：用途に合わせて最適なシューズを選ぶことが重要
ドライビングシューズとレーシングシューズは、見た目こそ似ているものの、用途や性能に大きな違いがある。日常の運転やドライブにはドライビングシューズが適しており、サーキット走行やレースへ参加する場合はレーシングシューズが必須である。
自身の走行スタイルに合わせて最適な一足を選ぶことで、運転の快適性や安全性を飛躍的に高めることができる。快適なカーライフやスポーツ走行を楽しむために、ぜひこの違いを理解した上で自分に合ったシューズを選んでほしい。
