中国のラッパー・CAPPERによる楽曲「深海」は、2024年に公開されたミュージックビデオと共に大きな注目を集めた。メランコリックな旋律と、Auto-Tuneでフィルターされた繊細な声。そこに重なる映像は、孤独、再生、そして都市の夜の美しさを静かに描き出す。
この映像作品にて、CARCHVSTとして我々は走行シーンの撮影に協力させていただき、CARCHVSTが提供したHonda RVFのカスタム車両が作中に登場する。
2024年に発表された楽曲「深海(Deep Sea)」は、CAPPERのキャリアにおける重要なターニングポイントとも言える作品。声帯のトラブルや双極性障害などの苦難を経た後、しばらく沈黙を続けていた彼が再び“声”を取り戻し、リスナーに語りかけるように綴った楽曲。それは深い水中に潜り、静寂の中で自分と向き合うような、繊細で緻密な世界が広がっている。
Auto-Tuneを多用しつつも、それが感情を覆い隠すのではなく、むしろ剥き出しの不安や孤独を強調する手法として機能しているのが印象的。リリックには、自らの弱さと向き合う勇気と、再び地上に浮かび上がろうとする意志が込められている。
ミュージックビデオでは、都市の夜や水中を思わせる幻想的な風景の中を、CAPPERが一人彷徨うように描かれる。その中で、CARCHVSTが提供したカスタムHonda RVFが静かに登場し、音と映像が溶け合うように“深海”の世界観を立体的に表現している。
「深海」は決して派手な曲ではないが、その静けさの中に、強い意志と美しさが宿っている。中国語ヒップホップという枠を越えて、国境やジャンルを越えて響くCAPPERの表現は、これからのアジアの音楽のあり方に、新しい問いを投げかけてくれるだろう。
CAPPERについて:
本名、張砚拙(Zhāng Yànzhuō)。2000年生まれ、陝西省西安市出身、平面デザインを学びながら音楽活動を行う。
経歴と音楽スタイル
Capperは2019年に中国の人気番組『中国新说唱(The Rap of China)』に出演し、14強まで進出。その後、2021年の『少年说唱企划(Youth Rap Project)』で優勝し、一躍注目を集めた。
彼の音楽スタイルは、mumble rap(マンブルラップ)やTrap(トラップ)を基調とし、独特のフロウとAuto-Tuneを駆使したサウンドが特徴。代表曲は「衔尾蛇(Ouroboros)」や「雪 Distance」など。
健康問題と活動休止
2023年5月、Capperはライブ中に声が出なくなるトラブルに見舞われ、声帯の深刻な損傷が判明。その後、呼吸性アルカローシスや双極性障害(躁うつ病)などの精神的・身体的な問題も重なり、活動を一時休止することとなった。
彼はSNSを通じてファンに謝罪し、治療に専念する意向を示した。
復帰と新たな挑戦
2024年7月、Capperは音楽番組『闪光的夏天(Shining Summer)』で復帰を果たし、新曲「深海(Deep Sea)」を披露。この曲は彼の苦悩と再生をテーマにしており、Auto-Tuneを駆使した新たな音楽スタイルを展開してる。
また、彼は新しいアルバムの制作にも取り組んでおり、2025年夏のリリースが予定されている。