1993年式 クラシックレンジローバー Vogue LSEの真髄:英国の至宝、時を超える静謐。

言語切り替え

砂漠のロールスロイス、クラシックレンジローバーの軌跡

1970年の誕生以来、クラシックレンジローバーは「砂漠のロールスロイス」と称され、実用的なオフローダーであった四輪駆動車に「高級SUV」という新たな概念をもたらしたパイオニアである。その洗練された直線を基調とするスクエアなフォルムと、過酷な環境を涼しい顔で走破する強靭な悪路走破性は、世界中の王侯貴族やセレブリティから愛されてきた。今日に至るまで、数多くのラグジュアリーSUVが存在するが、そのすべての始祖と言えるのがこのクラシックレンジローバーである。

「Vogue」と「LSE」が意味するもの

歴史の中で進化を続けたレンジローバーのラインナップにおいて、「Vogue(ヴォーグ)」は、より上質で豪華な装備を求める顧客の声に応えて設定された上級グレードである。 さらに「LSE」は、レンジローバーの歴史において初となるロングホイールベース(LWB)モデルを意味する。標準モデルと比較して、ホイールベースおよび全長が200mm延長されており、その恩恵は後部座席の居住空間に惜しみなく注がれている。

希少な並行輸入モデル、1993年式「Vogue LSE」の素性

日本市場において、このロングホイールベースモデルは「バンデンプラ(Vanden Plas)」という名称で正規輸入され、多くのエンスージアストに親しまれた。しかし、今回取り上げる1993年式の個体は、英国本国と同じ「Vogue LSE」のバッジをテールゲートに掲げる並行輸入車である。日本国内においては極めて流通数が少なく、コレクターズアイテムとしても希少価値の高い一台である。

普遍の美学を継承するアーデングリーンの装い

エクステリアは、英国の気品と伝統を体現する「アーデングリーン(Arden Green)」に彩られている。周囲の自然に溶け込みながらも、都市部では圧倒的な存在感を放つこの深い緑色は、クラシックレンジローバーの直線的なボディラインを最も美しく引き立てるカラーの一つである。専用のアルミホイールと堂々たるプロポーションが、当時のフラッグシップとしての威厳を今に伝えている。

ショーファードリブンを具現化する至高の室内空間

インテリアに目を向けると、そこには現代の車が失ってしまった「温かみのある贅沢」が存在する。ボディ同色のグリーンレザーとブラウンレザーの絶妙なコンビネーションが広がり、深みのあるウッドパネルやムートン調のシートカバーが、クラシカルでありながらも上品な空間を演出している。

特筆すべきは、この個体に備わっている後部座席用の独立したエアコンディショナーである。1990年代初頭のSUVにおいて、リア専用の独立空調は極めて珍しい装備であった。200mmの延長によってもたらされた広大な足元空間と相まって、まさに「ショーファーカー」と呼ぶに相応しい極上の移動空間を実現している。オーナー自身がステアリングを握る歓びはもちろんのこと、後部座席で寛ぐゲストに対して最高級のホスピタリティを提供する、奇跡のような一台である。