経歴:エンジニア出身の叩き上げ社長
佐藤恒治(さとう・こうじ)は1969年10月19日生まれ、東京都出身。1992年に早稲田大学理工学部機械工学科を卒業後、同年4月にトヨタ自動車に入社した。技術管理部に配属されたのち、初代プリウスやビスタのサスペンション設計に携わるなど、約8年間をシャシー設計部で過ごした。
その後、北米カムリの製品開発、レクサスGSおよびLCの開発を主導し、レクサス部門で要職を歴任。2020年にはLexus Internationalのプレジデント、同年9月にはGAZOO Racing Companyのプレジデントも兼任し、トヨタの「もっといいクルマづくり」を推進してきた。
2023年4月、豊田章男氏の後任としてトヨタ自動車の社長・CEOに就任。同年6月には代表取締役社長として正式に登記された。トヨタ12代目社長であり、理系出身者としては豊田達郎氏以来31年ぶりの就任となる。
学歴・出身高校:早稲田一筋のエリートコース
佐藤氏は、早稲田大学本庄高等学院(4期生)を卒業後、早稲田大学理工学部に進学。工学的視点を重視する思考の持ち主であり、大学時代はディーゼルエンジンの燃焼に関する研究に取り組んでいた。
人物像:生粋のクルマ好きと“現場主義”
学生時代にはガソリンスタンドや富士スピードウェイでのアルバイト経験があり、自動車に対する情熱を持ち続けてきた。AE86型カローラレビンや4代目スープラ(A80型)、レクサスLCなどを所有しており、中古車サイトやネットオークションで部品を探すこともあるという。
2022年12月、タイ・ブリーラムでの耐久レース観戦中、豊田章男氏から「ちょっとお願いを聞いてくれる? 社長やってくれない?」と冗談のような形で後継指名されたエピソードも知られている。
年収と報酬に関して
2025年6月18日に提出された有価証券報告書によると、佐藤恒治社長の2024年度の報酬総額は8億2,600万円であった。この金額には、基本報酬に加え、業績連動型のボーナスや株式報酬なども含まれている。報酬水準は国内企業の経営者の中でもトップクラスであり、トヨタの世界的な事業規模と責任の重さを反映している。ただし、佐藤氏自身は報酬よりも現場でのものづくりやブランド価値の創造に重きを置いている姿勢が際立っている。
今後の展望:「モビリティの未来」を見据える
会見では「クルマを造り続ける社長でありたい」「モビリティの進化の中でも本質的な価値を守る」と語っており、EV化や水素エネルギーへの対応など、トヨタの舵取りを担うキーパーソンとして注目が集まっている。