4代目トヨタ・クラウン(1971-1974)、「クジラ」の愛称を持つ革新と挑戦のクラウン

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1971年に登場した4代目トヨタ・クラウンは、従来の「トヨペット・クラウン」から「トヨタ・クラウン」へと名義が変更された最初の世代であり、クラウン史上でも特に異彩を放つモデルである。
その丸みを帯びた車体造形は「スピンドル・シェイプ(紡錘形)」と呼ばれ、まるで海を泳ぐクジラのような外観から「クジラクラウン」の愛称で親しまれた。

デザインを手がけたのは渚徹。三角窓を廃し、曲面を多用した大胆な造形と、ボディ同色のカラードバンパーを標準装備とする先進的なスタイリングは当初高評価を得た。しかし、絞り込まれたフロントデザインによりエンジンルームへの通風が不足し、夏季のオーバーヒートや取り回しの悪さが不評を招いた。この結果、同時期にモデルチェンジを行った日産のセドリック/グロリアに販売台数で逆転を許すこととなり、「クラウン史上最大の失敗作」と評されることもある。

しかしながら、その革新的な挑戦とスタイルは、現在においては再評価されており、クラシックカー愛好家の間で「クジラ」は根強い人気を誇っている。

ボディバリエーションは4ドアセダン、2ドアハードトップ、ワゴン(カスタム)、バンの4種類。新設された最上級グレード「スーパーサルーン」に加え、「スーパーデラックス」「デラックス」「オーナーデラックス」「SL」など多彩なグレード構成を展開。後輪ESC(現代のABS)や電子制御式AT(EAT)、アイドリングストップ機構「EASS」など、当時としては先進的な装備もオプションで用意された。

ボディカラーには「墨花(ブラック)」「白鳳(ホワイト)」「荒磯(ブルー)」といった漢字名が用いられ、センチュリーの系譜を思わせる趣も持っていた。

また、この世代から「クラウン」のカタカナロゴの書体が統一され、Cピラーには初めてクラウンエンブレムが装着された。

キャッチフレーズは「エレガンツ・クラウン 世界が見つめる」。1974年までの累計登録台数は28万7970台に達した。
そのデザイン、装備、失敗、そして再評価の歴史を持つ4代目クラウンは、まさに”異端”という名の名車である。

販売期間
Production
1971-1974
ボディータイプ
Body style
4-door sedan
5-door station wagon/van
2-door hardtop
駆動方式
Layout
Front-engine, rear-wheel-drive
(FR)
エンジン
Engine
1994 cc 5R I4 (RS60/66V)
1988 cc M I6 (MS60/62/66V/70)
2253 cc 2M I6 (MS64/67V)
2563 cc 4M I6 (MS65/68V/75)
変速機
Transmission
3/4/5-speed manual
3-speed automatic
ホイールベース
Wheelbase
2,690 mm
全長
Length
4,680 mm
全幅
Width
1,690 mm
全高
Height
1,420 mm
乾燥重量
Curb weight
1,290–1,360 kg