AE86への“原点回帰”──衝動買いしたカローラレビン
トヨタ自動車の新社長・佐藤恒治氏は、生粋のクルマ好きとして知られている。そんな佐藤氏が最近、衝動買いしたのが1980年代の名車「AE86型カローラレビン GT-APEX」である。自身で中古車販売サイトをチェックし、長野県にあるAE86専門店「小泉商会」に自ら連絡を取って購入したという。
購入した車両は、走行距離8万キロ、ワンオーナー・無事故の極上個体であり、さらに新品部品によるレストアが施されたものだった。佐藤氏がこのAE86を受け取る様子はYouTubeにも公開され、自らステアリングを握って整備やカスタムを楽しんでいる姿が話題を呼んでいる。
なぜ今、AE86だったのか?
学生時代、佐藤氏はホンダ・シビックに乗っていたが、友人が所有していたAE86に交代で乗ることもあり、その運転感覚が強く印象に残っていたという。「自分で操る感覚が忘れられなかった」と語っており、それがAE86購入の動機になったようだ。
また、ネットオークションで部品を探したり、愛車の整備を夜勤のバイト中に手伝っていた過去もあり、エンジニア社長としての原点がそこにある。AE86は単なる趣味の対象ではなく、「モノづくりの原体験」としての存在でもあるといえる。
SNSでも“クルマ愛”を発信

佐藤氏は、自身のSNSアカウントを通じて愛車の写真や整備風景を投稿しており、社長としての顔とは一味違う“クルマフリーク”な一面を見せている。こうした発信は、従来の経営者像とは異なる親近感を呼び、トヨタファンや若年層からも高い支持を得ている。
GRカンパニープレジデント時代の佐藤氏
東京オートサロン2023の会場ステージにて、当時社長の豊田章男氏(現会長)と共に、佐藤氏はGRカンパニープレジデントとして登壇。このイベントでは、「クルマ好きだからこそできるカーボンニュートラル」と題して、水素エンジン仕様の「AE86 H2 Concept」とバッテリーEV仕様の「AE86 BEV Concept」を発表した。
このステージ上での豊田社長と佐藤プレジデントのやりとりが、「佐藤氏のクルマ愛を物語っている」として話題となった。
豊田社長:
最近、フェイスブックを見ておりますと、「AE 86を買った」ということばかりをアップしている人がいます。ここからはその人にバトンタッチしたいと思います。紹介します。GRカンパニープレジデントの佐藤です。豊田社長:
クルマを持ってきていないの?佐藤プレジデント:
あまりに愛が強すぎて、いろいろ直し過ぎて…。まだバラバラで、持ってこれませんでした。豊田社長:
これ、3日間あるからね。間に合えばぜひ!佐藤プレジデント:
作業を手伝いに(行ってきます)。愛知県の豊田市でやっていますので。豊田社長:
運転して持ってきて。安全運転で!
トヨタの象徴としてのAE86
AE86はトヨタのスポーツ精神を象徴する1台であり、モータースポーツやカスタム文化において現在も高い人気を誇るモデルである。そんな1台を愛車に選んだ佐藤氏の姿勢は、「モビリティの未来」を語るうえで、“原点を忘れない”という強いメッセージを発している。