トヨタ、2025 SEMAショーで「カムリ GT-S コンセプト」を初公開 – レーススピリットを纏う次世代スポーツセダンのビジョン

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SEMAショーで披露された新たなスポーツセダンの姿

トヨタは2025年10月24日、ラスベガスで開催される「2025 SEMAショー」において、新型カムリをベースとした「カムリ GT-S コンセプト(Camry GT-S Concept)」を世界初公開した。
このモデルは、2025年型カムリ XSE AWD ハイブリッドを基盤とし、量産車としての現実性を保ちながらも、モータースポーツに着想を得たデザインとパフォーマンス志向のスタイリングを融合させた大胆なコンセプトモデルである。


「ショールームからガレージへ」──現実的なスポーツセダンの追求

「カムリGT-Sコンセプト」が掲げるテーマはシンプルだが挑戦的だ。すなわち、「ディーラーショールームからそのままガレージへ持ち帰れるスポーツセダン」を具現化することにある。
232馬力を発揮する2.5L 直列4気筒ハイブリッドシステムは量産仕様のまま据え置かれ、内装も標準仕様に準拠。トヨタが目指したのは、既存カムリの可能性を拡張するかたちで外観・スタンス・シャシーチューニングを追求することだった。

北米トヨタのエグゼクティブデザインディレクター、ケビン・ハンター氏は次のように述べている。

「カムリGT-Sコンセプトは、サーキット由来の情熱から生まれたスタディモデルです。カムリのハイパフォーマンスヒーローとして、トヨタが提供する走りの歓びとデザインの進化を象徴しています。」


CALTYデザインが手掛けた大胆かつ機能的なスタイリング

デザイン開発は、米国ミシガン州アナーバーに拠点を置くトヨタ・カルティ(CALTY)デザインリサーチが主導。研究開発チームとの緊密なコラボレーションにより、アグレッシブかつ機能的なエクステリアが生み出された。
リアフェイシアとバンパーはスポーツエキゾーストと一体化するよう設計され、フロントとサイドには新たに彫刻的なエアロパーツが採用。鮮烈な「インフェルノ・フレア(Inferno Flare)」と呼ばれる専用外装色がGT-Sの存在感を際立たせている。


サスペンションとブレーキを刷新──「走り」を支えるメカニズム

足まわりも抜かりない。車高を約38mm(1.5インチ)ローダウンさせる調整式コイルオーバーサスペンションを装備し、8ピストンキャリパー+365mmローター(フロント)、6ピストンキャリパー+356mmローター(リア)の高性能ブレーキを採用。さらに、20インチホイールに245/35R20タイヤを組み合わせ、走行安定性とスタンスを両立させた。

トヨタ・マーケティング担当グループVPのマイク・トリップ氏はこう語る。

「GT-Sコンセプトは、現実的なカスタマイズを通じて、カムリの持つ潜在的な“走りの美学”を表現したモデルです。お客様が“自分の愛車”として想像できるリアリティを大切にしました。」


「Powered by Possibility」──トヨタが描くセダンの未来

カムリ GT-S コンセプトは、11月4日から7日にかけてラスベガス・コンベンションセンターで開催される2025 SEMAショーのトヨタブース(セントラルホール、ブース22200)に展示される予定である。
今年のテーマ「Powered by Possibility(可能性に力を)」のもと、トヨタは内燃機関(ICE)からハイブリッド(HEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)、バッテリーEV(BEV)、そして燃料電池EV(FCEV)まで、あらゆるパワートレインにおける革新を提示する。

このコンセプトカーは単なるショーモデルにとどまらない。トヨタが“現実に近いスポーツセダン”の未来をどう描いているのかを示す一台である。