日産社長イヴァン・エスピノーサの愛車はフェアレディZ? 生粋の車好きはスポーツカーを復活させるのか

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2025年4月1日、日産自動車株式会社の新たな代表執行役社長兼CEOにイヴァン・エスピノーサ(Ivan Espinosa)が就任した。メキシコ出身、46歳。モンテレイ工科大学で機械工学を学び、2003年から日産のグローバル商品企画を中心にキャリアを築いてきた生粋の“カーガイ”である。

商品企画やグローバルプログラムマネジメント、さらにはNISMOやモータースポーツビジネスユニットまでを統括してきたエスピノーサは、単なる経営者ではない。エンジニアのバックグラウンドを持ち、自らの“原点”をZ32型のフェアレディZに見出す情熱的なクルマ好きであり、自動車文化そのものを体現する人物だ。

少年時代、メキシコでZ32を目にした瞬間、彼の中に火が灯ったという。「あのヘッドライトの造形、ドアを開けたときの感動、それまでの日産に対する印象が一変した」と語るエスピノーサは、その体験をきっかけに日産に魅了された。実際、2020年代に登場したRZ34型フェアレディZでは開発チームの一員として積極的に関与し、デザイン部門や開発責任者と共に夢を具現化した。

注目すべきは、彼自身が左ハンドル仕様のRZ34型フェアレディZを愛車として通勤に使っていたと報じられた点だ。経営トップ自らがスポーツカーを愛し、実際に運転するという事実は、日産の“クルマ好き”としてのアイデンティティを象徴している。

エスピノーサは「ZやGT-Rのようなアイコニックなモデルの存在意義は、単なる採算性や販売台数では測れない」と語る。これらのモデルが社員の誇りとなり、ブランドのアイデンティティを形成するという信念を持ち、今後も何らかの形で存続させていくことが自らへの挑戦だと位置づけている。

日産がスポーツカーの復活に本気で向き合う時代が、エスピノーサの就任によって再び幕を開けようとしている。Zが象徴する“走り”と“感動”を、次世代にどう継承するのか。日産の未来は、かつてZに心を奪われた一人の“カーガイ”に託された。


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