日産、経営再建計画「Re:Nissan」を発表:2026年度の黒字化を目指す抜本改革

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Re:Nissan計画の概要

日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市)は、2025年5月13日、新たな経営再建計画「Re:Nissan」を発表した。本計画は、2026年度までに自動車事業の営業利益およびフリーキャッシュフローの黒字化を目指すものであり、変動費・固定費の大幅な削減と事業構造の抜本的な見直しが柱である。

コスト構造の改革:5,000億円の削減へ

「Re:Nissan」では、2024年度実績比で合計5,000億円(変動費2,500億円、固定費2,500億円)のコスト削減を目指す。変動費については、エンジニアリングの効率化と厳格なコストガバナンスの下、製品開発の一時停止やサプライヤー体制の再編を実施する。固定費削減では、生産体制の再編や設備投資の見直し、北九州LFP電池工場の建設中止が盛り込まれている。

生産体制と人員の見直し

日産は2027年度までに、グローバルの車両生産工場を17から10に統合する。また、2024年度から2027年度にかけて全世界で2万人の人員を削減(既発表の9,000人を含む)する方針を示しており、管理部門やR&D部門を含む広範な対象が含まれる。

開発プロセスの刷新とモデル戦略

開発体制も大きく見直される。平均労務費単価を20%削減するため、R&Dリソースを合理化し、プラットフォームの数を2035年度までに13から7へ削減する。モデル開発期間もリードモデルで37ヶ月、後続モデルで30ヶ月への短縮が図られている。これにより、新型スカイラインやグローバルC SUV、新型インフィニティSUVなどが市場投入される予定である。

市場・商品戦略の再定義

市場ごとの特性に応じた柔軟なアプローチが強調されており、アメリカではハイブリッド需要に対応し、日本ではカバレッジ拡大、中国ではNEVを強化、欧州ではB/CセグメントSUVに注力する。中東では大型SUV、中国製の輸入強化も視野に入れている。メキシコは引き続き主要な輸出拠点とされる。

パートナーシップの強化

アライアンスパートナーとの協業も進行中であり、三菱自動車とは新型日産リーフをベースにした北米向けBEVやフィリピン向け新型バンの開発、ホンダとは電動化と知能化分野での戦略的連携を継続する。

まとめ:挑戦的な目標と現実的な実行計画

CEOイヴァン・エスピノーサは「Re:Nissanは、コスト削減、戦略の再定義、パートナーシップ強化を軸とした現実的な計画である」と述べている。日産は本計画により、収益構造の転換と持続可能な成長の実現を目指す。


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